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あのう、とメイド娘が切り出した。
「お時間ありますか?……そこの喫茶店でお茶でも飲んで行きませんか?」
隣のゲーセンやらアニメショップが入った雑居ビルを指す。
「え?……あ、はい」
カラカラに乾いた喉をごくりと鳴らす。まさかの神展開キターッ!
そのときだった。
「おーい、太田くーん」
家電量販店の方から手を振って飛び出してくる梅島の姿が見えた。
すうっと股間がしぼむ。拳を握り締め、ビルの谷間からのぞく冬空を俊輔は哀しげに見上げた。鼻水と涙がこぼれたのは、肌を刺す冷気のせいだけではない。
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