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* 尋問のプロ
俊輔たちと別れた後、男は駅ではなくサンシャイン通りの方向に向かっていた。赤いデイパックを肩に担ぎ、鼻歌でジングルベルを歌っていると、前方から二人の制服姿の警察官が近づいてきた。
一人はがっしりした体格で、いかつい顔の二十代後半ぐらいの警官。もう一人は細身で背が高い警官だった。
いかつい顔の警官が、男にぐっと身体を寄せてくる。
「お久しぶりです。伊藤警部補――」
「よお、勝村くん」と男が笑った。「相変わらず、君、顔怖いねえ。職質されたら逃げだしちゃうよね、ははは」
「フットサル帰りですか?」
チャラ男――伊藤警部補が肩をすくめる。
「若殿の接待サルだよ。いやになるよ。あのキャリア。シュートチャンスをお膳立てしてるのにシュートを空振りして、どってんこ。足首ねんざしちゃってさー。課長はえらいおかんむり」
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