1383人が本棚に入れています
本棚に追加
若い警官が胸元の無線で本部に報告をしている間、伊藤がいかつい顔の警官の首に腕を回し、顔をぐっと引き寄せた。
「この前の合コンどうだった? あの子とつなげてる?」
「あ、はい……おかげさまで」
恐縮したように短い首を縮こまらせる。
「またセッティングするからさ」
「はいっ、ありがとうございます!」
この警官――勝村巡査部長は彼女いない歴=年齢だった。地方なら安定した公務員としてそこそこモテる警官だが、都市部では収入の良い男が他にもいるので相手にされない。だから合コンを餌に手なづけていた。
「女は数だよ。今、付き合ってる女がオンリーワンだなんて思いこんじゃだめだよ。オンリーワン病になるな。君に何度も教えたよね?」
「はいっ、警部補の教えはしっかり守ってます」
最初のコメントを投稿しよう!