第一章 失踪事件

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 腕利きのスト師ならば、ド即系の女は見ればすぐわかる。最初に声をかければ、ほぼヤレるので、渋谷や池袋では、ド即系を見つけたら、スト師は一斉にダッシュする。いわゆるド即ビーチフラッグである(ライフセーバーが砂浜でやるあれね)。  目の前を、女たちが通り過ぎていく。お嬢様風の女子大生、全身黒でかためたバンギャ系(これはヤレそうだったけど、ブスすぎて放流)、茶髪のお水系もいたが、あれはキャバあたりに出勤だろう。  獲物を探して右に左に動いていた頭が止まった。  いた!……  前の方から大きなシェードのバッグを肩からさげた若い女が歩いてくる。年齢は十代後半ぐらい。とろとろした歩き方、ちぐはぐなファッション、意志のない目。わお、教科書に載せたいぐらいのド即女だよ! 「ねー、君、どこ行くの?」  声かけの言葉なんてどうでもいい。「よっ!」で通してるスト師もいる。
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