第五章 決着の刻

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「中二病って、体の病気か?」  信号が赤から青に変わった。歩道の人波がいっせいに動き出す。 梢が腕を離して駆けだした。振り返る。 「ね、クレープにしようよ。いいお店、知ってるんだ」  俊輔はオーケイと親指を立てる。  横断歩道の真ん中で、向こうから来る歩行者とすれ違う。  雑踏で足音が響く中、視界の片隅を何かが通り過ぎ、それを追うように視線が流れた。  瞳の中にかすかにある女の顔が焼き付いていた。氷のように怜悧な眼差しの残像が。  天堂?……  道の途中で立ち止まった俊輔は、女の拷問吏の姿を探した。白い横断歩道を埋めつくす黒いコートの背中。揺れる人の頭はどれも同じに見える。  信号が点滅をはじめ、赤に変わった。遠くから梢の声が聞こえる。クラクションの音にせかされるように、俊輔はきびすを返した。  (拷問トーナメント③へつづく)
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