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1章・双子
世紀が新しくなって七回目の12月23日。どしゃぶりの雨が降っていたクリスマス前の天皇誕生日の祝日ーー
東京都内の住宅街で六人の男女の遺体が見つかった。
母屋から出火したため、立ち上る煙に気付いた周辺住民の通報で明るみになった事件である。
事件現場となった建物は近隣では新興宗教の教祖の屋敷として知られていた。
人ではない別の《何か》を祀り崇める気持ちの悪い連中だと、一度だけマスコミの取材に答えた老人もいたが、ごく小さな閉ざされたコミュニティであったらしく、その内情を知る者は現れなかった。
殺害された六人のうち二人がこの新興宗教の教祖とその妻であったこと、残りの四人もその信者であったらしいということから仲間割れによる教団内部の人間による犯行という説が有力視されていたが、確かなことは現在も不明とされている。
幼い子どもが一人、ないし二人病院へ搬送されていたという情報も一時は流れたものの、年が明けると事件の報道はぴたりと止み、それ以上世間を騒がせることはなかった。
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