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気が付くと、川間は首を絞められていた。目の前には自分がいた。必死に抵抗をするが、どう抗っても目の前の自分は鋼のようにぎりぎりと首を閉め上げてくる。そうしている内に、意識は遠くなり、やがてふつりと糸が切れたように視界も闇に閉ざされた。
気が付くと、再び首を絞められていた。目の前には、やはり自分がいた。
必死に抵抗し、助けを呼ぼうとするが声は全く出なかった。抵抗している自分の腕が、白く頼りないほどに細いことに気が付いた。着物の袖も女ものだ。やがて前回と同じように、苦しみの中で意識が途絶えた。
気が付くと、また首を絞められていた。目の前にはやはり自分がいた。自分に犯されながら、首を絞められている。目の前の自分は脂汗を垂らし、目をぎらつかせながら腰を力強く打ち付けていた。
「う・・が・・・」
抵抗虚しく、股間からせり上がる激痛と共に意識は闇に消える。
気が付くと・・・
「おおおおおおお!!!!」
口から呻き声が漏れる。目の前にいる自分はそれが気に入らなかったらしい。右手で力任せに頬を殴りつけ、
「大人しゅうせんか!!」
と怒鳴りつけて腰を打ち付け始めた。
なんだこれは・・・いつまで続くのだ・・・そうか・・思い出したぞ。丁度この時、配下の者もいて・・・
「おい、済んだぞ。お前もやれ」
「へい・・」
まだ元服をおえたばかりの若い侍が圧し掛かり、腰を打ち付け始めた。
「や・・やめ・・・」
「この女、まだ口がきけるらしいですぜ・・・」
若い侍が嗤いながら自分を・・否、この女体を貪っている。記憶通りとすれば、この後・・・
「おい、終わったら始末しろ。軍目付にたれこまれたら面倒だ」
「へい」
若侍は頷くと精を思い切り流し込み立ち上がった。
「悪く思うなよ」
言うが早いか、白刃を胸元に突き立てた。激痛の中で意識が飛んだ。
気が付くと・・・・
一体何度繰り返したろうか。
殺してきた女の分、繰り返しその最後を追体験させられる。川間はその度に逃げようとし、殴られ、犯され、殺された。何度も、何度も繰り返し・・・・
やがて何をしても過去を変えることができないと悟った川間は、考えることを止めた。
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