マヨヒガ

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§ 源作    源作は動けずにいた。皆戻って来ない。やはりここは妖の棲む屋敷なのかも知れぬ。 そっと廊下を窺う。 物音一つしない。玄関に向かって歩みを進める。ここはやはり逃げ出すに限る。そう思って玄関まで暗い廊下を走り、板戸を抜けて屋敷の門まで辿り着く。 しかし目の前の扉はしっかりと閉ざされてびくともしない。人一人の力では、到底開きそうになかった。   
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