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私の目の前にはこの目障りなスピーカー、それと私の手の届く距離にゴミ箱がある。
だけど、それら以外は何も見当たらない。
昔はもっといっぱいあったはずだ。
だけど、私がゴミ箱にモノを入れるたびにそれらはなぜか消えていった。
スピーカーの振動と共に溢れだす無音となった不協和音を私は丁寧に拾い集め、ゴミ箱に投げ入れる。
ゴミ箱のなかには既に大量の不協和音。
音量を消音にしているお陰で誰にも迷惑をかけていないが、時折震えるそれらはゴミ箱を倒しそうになる。
倒れそうになるゴミ箱を支えるのも私の役目。
今日も震えるゴミ箱を愛しそうに抱きしめる。
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