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誰も知らないこの不協和音は私が壊れるまで表には出ないだろう。
だけど仮に私が壊れたのなら、この大量の不協和音は我先にと飛び出し、世界を汚すだろう。
その時にはスピーカーの音量を小さくする私はもういない。
だから、各々が各々の音量を持って世界に飛び立つのだろう。
そんな日が来ないことを祈りながら私はゴミ箱を抱えている。
目障りなスピーカーの前に居座って、音量を調節する。
光り輝く宝物を守る欲に塗れた人間のように私は番人としてここに居続ける。
その光がどれほど鈍く混沌とした泥のような色を放っていても……。
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