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時間というものは、時に人から大切なものを奪っていくのかもしれない。
失う事よりも忘れる事の方がずっと恐ろしい。
若い頃に抱いた感情や想いを忘れずに生きていけたら、きっと素敵な大人になれる気がします。
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1.
ピピピッピピピッ
今の時代にはあまり聞かなくなった普通すぎるアラーム音が耳を刺す。
布団との格闘に苦戦しながらもなんとか朝食を作りににキッチンへ向かう。
作るといってもとても簡単。朝食のメニューは毎朝、苺ジャムのサンドイッチとコーヒー。
「うまい」
東京の一人暮らしの部屋に響く独り言。何も変わらない日常が今日も始まる。
金本悠里(カネモトユウリ)
女みたいな名前だが、男。
10代の頃に病院に行った時には"悠里ちゃん"と女の子に勘違いされる事も多々あったが、名前はお気に入り。
この春、社会人2年目となった俺は今年で24歳。
そこそこ有名なレストランで働いてはいるもののまだまだ見習い。
将来自分の店を出すために今は修行中ということだ。
歳というのも不思議なもので、20歳を超えたあたりから時間が進むのがものすごく早い。
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