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心配したのかカブンが私に声をかける。
「おーい、大丈夫か?」
大丈夫です、と答えると
「きつくなったら行ってくださいね」
レイシャが優しく呼びかけてくれる。
「ところでお前達戦闘経験はあるのか? 俺は素手で事足りるが……」とカブン。
ある程度は外見で察しがつくが紹介し合う一行。
「遠くの敵は任せて!」と小ぶりの弓を振り回すヘレナ。
「私は2対の細剣で戦います」腰に垂らす剣をちらりと見せるレイシャ。
「あ、私はーー」
言葉を詰まらせる私。これまで武器なんて気にする機会がなかったので扱い方がわからない。
「短剣で、切ります」
いや、切ることすらまともに出来ないだろう。
「まぁ大体この時代に鍛えてる方が少ないからな」
「ええ、最近まで自警団すら見かけませんでしたし」
気遣いが少し刺さる。
「閑談は終了だ、ここが目的地の洞窟だぞ。もう一度言うが戦闘には参加しないからそれぞれ最大限努力するように」
洞窟入口横で立ち止まる教官の一声で空気が一変する。
「只今より探索指令を開始する! 各々最高の結果を期待する」
唾を飲み込む。初めての実戦ということもあり張り詰めるが、
「それじゃあレッツゴー!」
「待ってください! さすがに1人で突っ込むのは危険すぎます」
「あ、ごめんなさい……」
ヘレナとレイシャのやり取りを見て緊張がほぐれる。教官の口角も心なしか上がったように見えるが、仕切り直してカブンを先頭に私とヘレナ、レイシャ、しんがりに教官といった陣形でゆっくりと進んでいく。
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