なせばなる!-東洋のアルカディア-

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ーーーそれから長い年月が経ち、 時代は江戸から明治へと移り変わっていた。 鷹山が享年72で没してから時の経った米沢の地に、 一人のイギリス人女性が足を踏み入れた。 名はイザベラ・バード。 地理学者として世界中を旅していた女性である。 彼女は様々な国の様々な土地に足を運び、 何十、何百もの見慣れぬ景色を目にしてきたのだが、 この米沢の地を見た瞬間、思わず悲鳴を上げてしまった。 「うわああオォウ!! なんて素晴らしい景色なの!?」 イザベラが見つめる先にある米沢の景色を、 彼女は後に『日本奥地紀行』という旅行記にこう記しているーーー 『米沢はまったくもってエデンの園! 鉛筆で描いたように美しいわ。 米、綿、とうもろこし、柿、杏、ざくろ…とにかく豊富に栽培している。 実り豊かに微笑むこの大地を例えるなら…そう、 東洋のアルカディアだわ』
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