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「キャーーーッ!キャキャキャ!」
!?
悲鳴をあげていたのは桜じゃなかったのか!?
「ソーダヨ…まず笑い声で通りすがりのアイツを誘き寄せてクオウトシタラ…いきなりオマエガアラワレタ…二人マトメテクウカ、一人ずつクウカ…カンガエテイタノサ…」
………マズイ。
攻撃も効かず、逃げても追い付かれる今…対抗できる手段がない。
桜は桜で学校の方に行ってしまうし…本当に何してんだよ…
そうだ、ケイなら…
ケイなら炎技で追い払えるハズ…
上手く照らす事が出来れば、何とか追い払えるんじゃないのか!?
そう思いながらケータイを素早く弄ってケイにかける。
「んぁ?なした?」
「おい、今すぐ学校来い!そこに影が……っておい!寝るな!」
こんな時に便りにならない仲間…
「マズハ…オマエカラクッテヤル!」
!?
「はっ!」
見慣れた場所、見慣れたベッドの上…
俺は、目が覚めると自分の部屋にいた。
はぁ…何だよ、今のは夢か…
冬なのに変に汗が出てパジャマをぐっしょりと湿らせている。
この俺が、対抗出来ない相手がいるとは…
そもそも現実にこんな事が起こっている事事態があり得ないのだが、四の五の言っている訳にもいかない。
俺は支度をした。
家を出ると夢と同じ通学路。
そしてここを真っ直ぐ行くと小さな公園…
「キャーーーッ!」
!?
またか!?
今度は桜の家の方角だ。
また、悲鳴がした方に向かって走る。
あそこには母親がいるのにあの影が出たら今度こそ終わりだぞ!
数分して、その現場に辿り着いた。
「あっ、レキおっはー♪」
「………何をしているんだ…」
「あー…起きてから鏡の前に行ったらすごーい変な髪型になってて、そしてお母さんがトースト焼き過ぎて爆発しちゃってえ♪朝御飯食べ損なっちゃった♪」
………
このバカにイチイチ騙される俺がバカなのか?
頭に手を置いて舌をペロッとする桜を見てそう思った。
「お前ってホント、紛らわしいよな…」
「何の話?」
俺の夢の内容など知らないコイツが、その場にげんなりしてしゃがみ込む俺を見て不思議そうに首を傾げたのは…言うまでもない。
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