夢の中と現実で

2/3
前へ
/3ページ
次へ
「キャーーーッ!」 一人の女子の声がした。 ここはいつもの朝の平和なハズの通学路。 俺はいつも通り起きて登校していた…ハズだった。 いつの間にか悲鳴がした方に足が動き、辿り着いたのは学校の側の公園… そこにいたのは 「あっ、レキ!あ、あれ…」 ちょっとした事で悲鳴をあげるバカな女子生徒と、彼女が指を震わしながら指した先には大きな影が。 茂みにくっきりと残っているその影は、一際濃くて何の形かハッキリ分かった。 「巨人か?」 「そーだよ!絶対!どーしよ!私は攻撃出来ないし…なんか不気味で怖いよ…」 すぐに俺の後ろに隠れようとする桜に対してはただ、溜め息しか出ない。 そう、言われてもな…姿形が見えねーヤツには攻撃のしようもねぇし… そう思いながら影の方に視線をやる。 ユラユラと揺れるだけの影は、朝の光に照らされて今にも消えそうだ。 「とりあえず放置しておけ…さっさと」 グォォォォッ! 大きな声がしたかと思うと、その影は俺達が去ろうとした時に襲いかかってきた。 思わず戦闘体勢に入る。 「レキ…影に食われたりしないよね?」 お前の想像の方がよっぽど怖いわ。 よく、怖がりでそんな想像が出来たな。 グォォォォッ! 「そこかっ!」 と、無数の小さな氷のナイフを投げ付ける。 効果はなしか… 俺が出せる小さな技をとりあえず全部出してみるが、全く手応えがない。 考え込んでいると、影は立体化して確実に俺らを食おうとしていた。 「レ、レキどうするの!?」 「オマエヲ…オマエヲ…喰ってヤル!」 「キャァッ!」 技で応戦するが、効果がなく… 逃げるしかなかった俺らは公園を後にした。 そして、出来るだけ速く走る。 桜が俺より先に走るのに突っ込みたいところだが、今はそう言っている訳にもいかない。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加