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ざわざわと揺れる高い草の中。
時折顔に触れる草を煩わしそうに千切りながら少女は歩み続ける。
腹はくちたようで満足そうに腹をなでる少女の笑みは赤に彩られ禍々しくも見えた。
天から照らすは二つの太陽。
そこへ向かい一直線に歩んでいる。
それは見るものがいれば、まるで太陽に挑むかのような真っ直ぐ過ぎる歩み。
鋭い草刃が少女のむき出しの胸に薄っすらと傷をつける。
いびつに尖った石ころが少女の裸足を痛めつける。
だがそれでも少女の歩みは変わらなかった。
時折不思議そうに痛めた足に視線を落とすもまた変わらずに歩み始める。
その有様はまるで痛みというものを知らずに育った生き物のようであった。
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