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「・・・勝てねえから止める?」
半透明の壁越しにエニシを睨み付ける龍二。
「勝てねえから止めるだと?そう俺がするとでも?」
どごぉぉぉぉん!!
額に赤と、そして白が見え出す。
「・・・これでもな、必死でコントロールしてんだ、龍二。
少しでも身動ぎすればお前を吹っ飛ばしちまう。
少しでも考えればお前を消し飛ばしちまう。
だから止めろ。諦めろ。俺が」
どごぉぉぉぉん!!
ぶしぃぃぃっ!!
さらに増える出血。
「・・・勝てねえから止める。
勝てるから・・・いど・・・む。
そうじゃねえだろう。エニシ。
そうじゃなかっただろう。エニシ。
俺もお前も、あの人達も。そうじゃなかっただろう。
俺はなぁ。お前に勝ちてえんじゃねえ。
ただ・・・
俺達がクソムシと断じたあいつらは・・・
・・・人だった。
ただの、人だったんだよ。エニシ。」
どんっ。
エニシの刮目と同時に光巨人が発光し、しがみつく拳もなく、弾かれる龍二。
その唇が落ちながら震える。
「・・・変わらねえんだよ。
エニシ。
お前も俺も。クソムシも英雄も。
人も魔物も銀月果ても。
生きてえと願う心に変わりはねえんだよっ!!」
かっ!!
龍二の体から、放たれた光は命を燃やして得た力。
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