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ハイスペックの素養と素質を持ち合わせた貴族の次男坊でありながら、過去のいざこざにより極度の女嫌いという、ワケあり少年のヨシュア。
シンドリーのスメラギ家でもワケアリ息子の環境を変える機会を考えているところだったので、ティアラとの虫除け婚約話の交渉はあっさりと成立した。
スメラギ家当主であり、ヨシュアの父親であるロルフは最初から期間限定と考えているようで、それはファウストにとっても都合が良かった。
他人と気楽に交流する機会の少ないティアラなので、契約ありきの仮の婚約者だとしてもそれなりに興味を抱くのは想定内だった。
だからこそ、一時の措置だと強く言い聞かせ、できる限りの接触を禁止した。
何より、ティアラの後ろにはカミがいる。
あれだけべったりで、兄として妬けるほどの仲良し具合だったので、最終的には巫女という立場でカミを選ぶものと信じて疑わなかった。
本気でカミとくっつかれても困るのだが、ファウストは父娘みたいな関係だと高を括っていたのだ。
まさか、カミの本命がレスターだったなんて、とんだぶっとび誤算である。
「どこもかしこも想定外とか……」
国政に関わる問題でなくて良かった。
いや、そうだったのならこんな結果にはならずに済んでいたはずだ。
なぜなら、「お兄ちゃんはそんなに私の事を考えてくれてたのね」 と感激してもらいたくて、全てを一人で決めて、こっそりと動いていたからだ。
国政ならば、一人で動く事などまずあり得ない。
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