Royal Fraternity

5/30
前へ
/33ページ
次へ
ぐいっとお茶を飲みほすと、ファウストは勢い良く立ち上がった。 「どこかへお出かけで?」 書類の整理をしていたヘルマンの質問に、気晴らしをしてくると答えてオアシスに回す束を掴んだ。 「しばらく戻ってくるつもりはないが、いつ戻るかわからんから、ヘルマン、お前はこの部屋を出るなよ」 ヘルマンは何を聞き返す事もなく了承する。 「ああ、そうだ。ついでに、残ったの茶と余った菓子を平らげといてくれ」 通訳すれば、ヘルマンこそ休めという意味だった。 「はい、抜かりなく遂行しておきますのでご心配なく」 頼りになる側近は、少々笑って承った。      * * * 「何事だ?」 現実に向き合うべく、まずはレスターの執務室となっている応接間を訪ねたファウストだが、そこは不思議な状況になっていた。 「そこの人、最後尾はここですよ」 更には、こんな事まで言われたので、とりあえず謎な行列に近付いてみる。 「おたくもレスター代表に会いに来たのでしょう」 「ああ、まあ」 気安く話しかけてくる同年代らしき男は、オアシスで使っている封筒を手にして見せた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加