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ぐいっとお茶を飲みほすと、ファウストは勢い良く立ち上がった。
「どこかへお出かけで?」
書類の整理をしていたヘルマンの質問に、気晴らしをしてくると答えてオアシスに回す束を掴んだ。
「しばらく戻ってくるつもりはないが、いつ戻るかわからんから、ヘルマン、お前はこの部屋を出るなよ」
ヘルマンは何を聞き返す事もなく了承する。
「ああ、そうだ。ついでに、残ったの茶と余った菓子を平らげといてくれ」
通訳すれば、ヘルマンこそ休めという意味だった。
「はい、抜かりなく遂行しておきますのでご心配なく」
頼りになる側近は、少々笑って承った。
* * *
「何事だ?」
現実に向き合うべく、まずはレスターの執務室となっている応接間を訪ねたファウストだが、そこは不思議な状況になっていた。
「そこの人、最後尾はここですよ」
更には、こんな事まで言われたので、とりあえず謎な行列に近付いてみる。
「おたくもレスター代表に会いに来たのでしょう」
「ああ、まあ」
気安く話しかけてくる同年代らしき男は、オアシスで使っている封筒を手にして見せた。
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