方向模索

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「えっと、隆久」 「あ、おか…」 教室であれこれ考えていれば、彼は帰ってきていた。 一緒に行った彼女と手を繋いで。 「お、お前が言った事、本当だったわ」 「ねぇ、いつから気付いてたの?私、そんなに分かりやすかった?」 手を繋いでおきながらぎこちない2人。 どうも目のやり場に困りながら、答える。 「俺、そういうの敏感だからさ」 中学から一緒の子に好意を持たれていた事に気付かなかったのは棚に置き、自慢げに話す。 適当に話を流しながら、先に2人に帰るよう促す。 彼らは一度顔を見合わせ、俺にお礼を言ってから肩を並べて帰って行った。 あぁ、「教えなきゃよかった」って思ってしまう醜い心を消したい。 なにはともあれ、あれが好意の矢印である事が確定してしまった。 つまり、俺も女の子から好意を寄せられている。 …が、実は俺には好きな人がいて、その相手の矢印はまた違う人に向いている。 さて、どうしたものか…。
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