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「…は?」
朝起きての第一声。
それは自分の部屋で、誰に言うでも無く発せられた。
しいていうなら、メガネに向けて。
俺は小学校5年生からメガネをかけている。
ゲームや本よりも外でサッカーをするのが好きだった俺の視力が下がったのは、遺伝という他ない。
視界はさえぎるし、激しく動けば落ちるし、かといって外せば遠近感がつかみにくい。
最悪な装備品だ。
そう思って早7年。
高校3年になった俺には、メガネは体の一部と言っても過言では無いほど馴染んでいた。
それなのに、朝起きてメガネを見た途端に声を出したのには理由がある。
そこに、俺のメガネでは無いメガネが置いてあったからだ。
俺が普段かけているメガネは、いかにも勉強が出来そうな四角フレームの黒いメガネ。
実際に勉強が出来るかは今はおいておく。
目の前にあるメガネに顔を近づけて見ると、四角フレームは変わらないものの、かなり明るい赤色をしていた。
よく見れば、隣にいつもかけているメガネもある。
ということは色が変わったわけではないようだ。
この時、まだ頭は寝ぼけていた。
興味本位でメガネをかけてみると、度はぴったりで重さも悪くない。
フレームの赤色も、かけてしまえば気にならない。
それどころかレンズは新品で、普段のよりもいい気さえしてくる。
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