方向模索

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「おう隆久。今日は遅刻しなかったな」 「はぁ、はぁ…。さすがに、二日連続は、まずいからな」 1限開始の3分前に教室へ到着し、そのまま一番後ろの自分の席に突っ伏す。 隣に座っていた友人晴菜(男)がからかってくる。 「まぁ、昨日も先生に気づかれてなかったけどな。…ん?メガネ替えたのか?」 「え?あ」 晴菜の言葉でやっと気付いた。 あのメガネをかけてきていたことに。 色を変えるだけで印象というのは大きく変わるもので、あっさり晴菜にバレてしまった。 これは目立ちそうだ。 しかし、このメガネでも無いと一番後ろの席では黒板に書いた白線が見えないレベル。 外すわけにはいかない。 「まぁ、アレだ。イメチェンってやつ。案外似合うだろ」 「プッ…っと、失礼。いいんじゃないか?」 肯定するなら噴出すのは止めて欲しかった。 やっぱり似合わないのかと思い、それでも仕方なく前を向く。 そこでようやく景色に違和感を感じた。 この教室には、俺達を含めて現在30人くらいの男女混じった学生がいる。 それぞれ仲のいい友人と談笑をしている。 そこまでは普段と同じ光景だ。 しかし、俺には人以外のものが見えた。 と言っても霊の類では無い。 一言で表すなら、いくつもの「矢印」だ。 一度メガネを外して瞬きをする。 視力が悪いものの、矢印があるか無いか位はわかる。 しかそ、それらしき物は全く見えない。 再びメガネをかける。 目の前には、矢印は目の前にいくつも浮かんでいた。 …何事?
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