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あれから2ヶ月、あっという間だった
蓮司君はオーディションが受かり、私は父が進めた自社コスメの研究に時間を費やすようになり、お互い忙しく連絡もままならない日々が続いた。
唯一のメールで互いの状況を報告し合い、未来のため今は我慢と言い聞かせる
もちろん彼の着実な成功は嬉しかったし、私も何か作り上げるということが楽しくなっていた。
だからといって初めて出来た恋人にこれ程も会えない日々が続くと...。
「棗?」
「...!」
「ぼんやりして...最近忙し過ぎて疲れてるの?」
ママが私の顔を覗き込み心配する
「大丈夫、少し考え事してて」
「仕事?」
「うん...」
「そのことなんだけど、パパとの仕事に専念したら?」
「えっ?」
「販売員の方、辞めたら?」
「...」
「元々会社を辞めて仕方なく探した仕事でしょ?だったらパパとの開発に専念した方がこの先...」
「一時の思い付きだから成功するかも分からないのよ?無理よ...」
「そう?」
仕事は楽しい
自分の考えたものが形になっていくのも凄いと思う
でも...私の心の真ん中にポッカリ空いた穴は蓮司君に会わなきゃ埋まらない。
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