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「え?な、なんに対するテレ?ちょっとよくわからない」
「……も~~~~~っ……。キミってほんとヤダ」
そう言われても、眼鏡が似あわなすぎて恥ずかしいのは私じゃない?
客観的に見ても赤面する程似合わない?!そこまで?!ちょっとショックなんですけど。
「山口さんは眼鏡しか見てないから何にもわかんないんだ」
考えている間にも近藤君は、どんどんどんどん赤くなり、首までまっかっか。
返すために差し出した眼鏡も受け取ってくれない。
「だーからー。眼鏡じゃなくて眼鏡男子がいいんだからちゃんと近藤君も見てるって!」
そう言うと、差し出した眼鏡ごと近藤君が私の手を包み込むように握り締めた。
「え!!!!!」
赤くなった彼の手は私の倍くらい熱い。気がする。
ようやく、なんとなく彼の言いたいことがわかって、熱が移るように私の顔まで熱くなる。
そんな馬鹿な。
散々人のこと変態って言っておきながら。
普段あれだけ空気のように扱っておきながら。
特に会話らしい会話もしないじゃない?!私達。
そう思って彼の顔をもう一度見ると、眼鏡がないせいかわかりやすいほどに彼の気持ちが読み取れた。
眼鏡しか見てないって、そういうこと?
「いやいやいや!困るよ!私近藤君のことそういう風に見たことない!」
「嘘でしょ?!僕ふられるの?!散々あんな風に見られておいて?!」
「ふ…いや、その!」
勘違いするようなことをしたのはキミじゃないかと言われれば、それもそうだと今更思う。
なんで気付かなかったんだろ。
これじゃ近藤君が言うように、本当にただの変態じゃないか。
「じゃ、……じゃあ、お友達からで」
「友達ですらなかったの?!僕達!!」
そうだね。なんだったんだろうね。
汗ばんだ手が彼の眼鏡のレンズを指紋でベタベタにしてしまっていることに気付いた。
けれどまだ彼はその手を離してくれそうにない。
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