25人が本棚に入れています
本棚に追加
初めのころはよく話しかけていたけれど、「仕事に集中できない」と文句を言われてからはただ飽きるまで彼の顔を見続ける日々である。
近藤くんにも友人にも呆れられているが、至福の時間だ。
おしゃべりもできないで眺めているだけというのもなんだし、今日は彼の魅力を紹介しようと思う。
まずは眼鏡。細い黒縁の薄型レンズ。真面目そうなチョイス。
そして近藤君の目。彼の目は眼鏡をかけて初めて魅力を発揮するものといっても過言ではない。
一重の少し細めの目。主張しすぎない。
イケメンアイドルの眼鏡もいいけど、その場合主役は彼らであって眼鏡ではない。
この目と眼鏡とお互いの魅力を打ち消さず、尊重しあったバランスが絶妙。
そして近藤君の真面目そうな黒髪。下を向いて書類を書いてると、たまにパラッと落ちてくる前髪が眼鏡に少しだけかかって色気をかもし出す。
そして手。白くて華奢で細い指だけど、太めの関節が間違いなく男の子。その手がさっと前髪を避けるのだ。
「……完っっ璧」
私は思わず呟いた。
あっ、と口元に手をやると同時に、近藤君が気付いてこちらを見る。
へらっと笑ってごまかすと、彼は手を止めてため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!