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近藤君は椅子の背もたれにもたれかかると、「ちょっと休憩」と言って眼鏡を外した。
「おおっ!外したとこ初めて見た!」
「あ~もう、仕事も見られるのも休憩!だから見ないで!結構疲れるんだよ」
「そうなの?」
「キミの視線、痛すぎるんだよ…」
全然気にしてないように見えたけど、気のせいだったのか。
それはちょっと悪いことをした。これからは見ない日を作らなきゃかな。
「近藤君、全然表情に出さないから気付かなかったよ。ごめんね」
「表情に出てなくても普通みんなそうなるでしょ」
「まあ、そうなんだけど。近藤君は変わってるのかなって」
「相当変わってるキミにそんなこと思われるってよっぽどだよ」
「私はそんなに変わってないって思うんだけどなぁ~。欲望に素直なだけだよ」
「キミのそういうとこ、ほんっとギリッギリアウトだからね?わかってる?」
「アウトじゃん…。駄目じゃん…」
近藤君が、ふふっと笑う。
彼とここまで雑談することは相当まれで、私はなんだか嬉しくなった。
「でもそこまで嫌だったなら、もっと態度で表してくれてもよかったのに」
だけどその言葉を吐いた時、テンポよく返事をくれていた彼の口がぴたっと止まった。
不思議に思って彼の目を見る。
あ、鼻のとこ眼鏡のアトがついてるなあ。
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