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「最初は結構出してたと思うけど」
遅れて彼の口から出てきたのはそんな言葉だった。
「そうだけど。でも最近は全然だから。慣れちゃったのかなって」
「こんなの慣れるわけないだろ。僕をどれだけ変わり者扱いしてるんだ」
「はは、確かに」
近藤君は中指でくいっと眼鏡を上げる動作をして眼鏡を外していることに気付き、赤面して慌ててゴホンと咳をする。
「あはははは、やっちゃうよね。わかる。私もコンタクトにしたばっかりの時はそれしょっちゅうやってた」
「コンタクトなの?!」
驚いた近藤君は、背もたれから背中を離して乗り出した。
「うん、そうだけど…なんで?そんなに驚くこと?」
「そんなに眼鏡好きなら眼鏡しなよ…!」
言ってることはもっともだ。
「私眼鏡スッゴイ似合わないんだよ~。あと眼鏡が好きなんじゃなくて眼鏡男子が好きだから、それとこれとは別」
そう言うと彼は絶句した。
「あんまりそういうこと言わない方がいいよ…」
「ん?どういうこと?でも本当に似合わないんだって。ちょっとそれ貸してよ」
彼の手から眼鏡をうばってかけてみる。
うわ、結構視力悪いのね。コンタクトの上からだとぐわんぐわんする。
目の前の近藤君の輪郭すらよくわからない。
「ほらね、似合わないでしょ」
そう言って眼鏡を外すと、赤い顔をした彼が見えた。
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