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「これさぁー、酷いと思わねぇ? この『カップルの定番』っての。男同士じゃ行けないじゃん」  雑誌の中の1ページを指差し、グチるように話しかけてくる。 「どれどれ」  上から覗き込むと、それは若い女性に人気があるテーマパークの記事だった。 「そんな事ないだろう。男同士で行っても別にいいんじゃない?」 「先生はここ、行った事ある?」 「んー。随分昔に。家族で」 「そっかー。そん時、男同士で来てる奴等とかいた?」 「どうだったかなー? でも、いたと思うよ。何? 行きたいの?」 「うん。……ちょっと」  語尾を小さく呟いた彼は、手早くページを捲った。 「女の子と、行けばいいじゃない」  何気に言った言葉に、ページを捲る彼の手が止まる。上からでは顔は見えなかったが、捲ろうとしていたページは、中途半端なままで動きを止めていた。 「……女なんか」 「えっ?」  一瞬震えたように見えた手が、再びページを捲る。 「あっこれ。美味そー」  何事もなかったように、彼の手はラーメン屋の記事で止まった。 「……今度、連れて行ってあげようか?」
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