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「……次回は、上の歯石を取りましょう」  少し驚きながらそう言うと、彼は「「はい」と頷き、「ありがとうございました」と頭を下げた。 「あらら。終わってしまいましたか」  急いで戻ってきてくれたらしい丸山さんに「ごめんね。終わってしまいました」と返す。  ふふっと笑った丸山さんから藤堂君に視線を戻すと、彼の姿はすでに無く、チェアには自分で外したのだろうエプロンとタオルが、無造作に置かれていた。  あの無邪気な姿とのギャップに、少し違和感を覚える。 「なんだか楽しげだったじゃないか」  手袋を取り換えていると、院長が肘で小突いてきた。 「同じマンションの子なんです」 「お前とあんなに親しそうにしてる奴、初めて見たぞ」 「そうですか?」 「ま、俺の次にだけどな」  ポンッと僕の肩を叩いて離れていく院長を目で追う。  そして心の中では、「当然ですよ」と返していた。
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