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 3人が顔を覗かせ挨拶してくる。声を揃えるように「お疲れ様」と返す僕達に微笑んで、ドアが閉められた。  彼女達が帰ってしばらくして、僕は院長と自分のコーヒーカップを持ってスタッフルームへと向かった。  少し大きめのスタッフルームには、流しに洗濯機、ソファセットにロッカーが置かれている。この部屋にも立派なコーヒーメーカーが置 かれているが、女の子達はあまりコーヒーをお好みではないらしかった。  後シャワーでもあれば、この医院で生活出来るんじゃないだろうか、などと考えながら着替えを済ます。  洗ったコーヒーカップを持って院長室に戻ると、中から話し声がしてきた。ボソボソと話す声は、時折笑いが洩れ、相手は奥さんだと察しがついた。  控え目にノックをし、顔を覗かせると、携帯を耳にあてながら院長が身振りで「入って来い」と促した。  彼は着替えの途中だったらしく、シャツの前を肌蹴たままだった。  男同士だからと思っているのだろうが、僕の気持ちなどこの人はまったく考えてもいなかった。
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