プロローグ

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真っ赤なヒト。 真っ赤な村。 真っ赤な森。 真っ赤な自分。 全部が赤く燃え上がり、熱いと、痛いと、助けてと、泣き叫ぶ見慣れた親しいヒトたちの悲痛な声と歪んだ顔。愛しい村は炎に覆われ、悲鳴が充満している。 私自身も真っ赤に染まるほど炎に包まれているというのに全く熱くない。だが、助けを求める彼らに手を伸ばした途端、更に燃え上がる炎が私の手から彼らに燃え移る。 全てが真っ赤に燃え、炎は収まることを知らない。 流した涙もすでに燃えて渇れてしまった。
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