『糸乱』

9/33
前へ
/44ページ
次へ
黒蘭は今まで私情だけで旅をしていたわけではない。彼の仕事は、中央と西のあらゆる村、生物、自然界の見聞である。そこから得られる詳細な情報により、総帥のオルドがランクに合わせてギルド員に任務を募集する。おかげで照合率は百%である。 またその情報により、自然災害の被害を大幅に免れている。魔獣の行動も細かく記録されているため、どの土地が危険なのか、いつ頃活動されるのかわかる。研究者や専門家にもその情報はギルドを通じて伝達されるため、様々な旅人や商人は特にその情報を頼りに行動し生活している。 同様に国家の厄にも立っており、遠征に出る軍もまたその情報を頼りにして、国民や援助を望む民の元へ向かう。 各国の中で、最も生態系や自然界の情報が多く出回るのは西国であり、その中心となって仲介しているのはフロルガーデンである。 そして、その根元にいるのは最強を欲しいままにしている『漆黒の元帥』であるが、それを知る者はこの世に三人だけだ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加