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「…
うん、千景の事は…
やっぱりずっと、好きだと思う。
だけどもう、あの頃の好きとは違うんだ。
だから…
結果的に千景の気持ちを振り回しといて、それに答えられないのが辛かった。
でも俺、どんなに最低でも、何を犠牲にしても…
憧子さんを守りたい」
泣きたくなんかなかったのに、ポロリと勝手に雫が落ちた。
その人は、自分だけ身代わりが続く状況下で…
ただ私を守りたいと。
「…っっ、どうして…?
私は響を、孤独や罪悪感から救ってあげる事も出来ないしっ…
いつだって迷惑や心配をかけるだけで…
っ、苦しめる事しか出来ないのにっ…」
響を苦しめたくない。
傷つけたくないのにっ…
「いいよ、それでも」
そのひと言に、思わず俯けてた顔を上げると…
響が親指で、私の頬を伝う涙をそうっと拭った。
久しぶりにその人の温もりを感じて、ぶわっと愛しさが溢れ出す。
「それに、迷惑だなんて思った事もないし…
心配するのは、憧子さんの事が大切だからだよ」
大切…
すでに愛しさでいっぱいの胸が、さらにぎゅうっと詰まってく。
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