殉愛

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どおりでそんな髪… 響の髪色は、ワインレッドブラウン。 髪型もオシャレだし、その色もすごく綺麗だけど… 普通の会社勤めじゃ難しい。 「缶ビールでいい?」 その声かけに頷いて、差し出されたそれを受け取ると… 誘導されたソファに、肩を並べて座った。 「それで憧子さんは?何してる人?」 「…工場でライン作業してる」 「え、意外。 なんか華やかな仕事してるかと思った」 「地味ってはっきり言えば?」 「まぁ地味だけど、そーゆう仕事が出来るのってすごいよね」 「は?」 「だって単調な作業をひたすら繰り返すんでしょ? 集中力とか忍耐力がなきゃ出来ないよ」 誰にでも出来る仕事だと馬鹿にされた事はあっても… そんなふうに言われたのは初めてだった。 まぁ美容師って仕事がら、相手を褒める話術には長けてるんだろう。 そんな事を思いながら、ビールを何口か喉に流し込んでると… ふと、見つめられてる事に気付く。
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