おかえり

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だけど私の気持ちを知らない響が、終わらせたくない関係は… この身代わり関係でしかなくて。 なのに… 「っ、なんで私なのっ? 私はただの身代わりじゃないっ。 ずっと求めてた本命の気持ちが、やっと手に入ったのにっ…」 「憧子さんは身代わりなんかじゃない。 とっくに本命に、身変わりしたんだよ」 「っ… 身変わり…?」 イントネーションでそう捉えた。 「そう、変わったんだよ。 俺は… 憧子さんだけを愛してる」 曇りのない真っ直ぐな瞳で、そう愛をぶつけられ… 心臓が大きく弾けたと同時、ズキンと痛みが突き抜ける。 嬉しいのに… 嬉しくてたまらないのに… 響の本当の愛が欲しかったのにっ… やっぱり聞かなければ良かったと、後悔が押し寄せる。 だって私は、響だけを愛せない。 「…ごめん、やっぱりしんどかったよね」 痛みと困惑で顔を歪めた私に、悲しげな声がかけられる。 「っ、そうじゃなくてっ… ただ… この先もちひろさん以外愛せないって… ずっと好きだと思うって、言ってたじゃないっ… 彼女の気持ちを断った日も、辛そうにしてたじゃないっ」 誤解を払拭するように、とにかく思い付いた事を並べた。
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