殉愛

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「ねぇ、おにーさん。 私と遊んでくれない?」 行きつけのクラブに着いて、それなりの男にさっそく声をかけると… 「えっ… あぁ~、また今後ねっ」 いつもはすぐ捕まるのに、かわされる。 けど別に男はいくらでもいるわけで… なのに、その後も捕まらない。 なんなの?今日は… いつもと違う状況を怪訝に思ってると。 「この店じゃ無理だよ」 ふいにかけられた声。 振り向くとそこには、息を飲むほどの美青年がいた。 「無理?」 「そう。逆ナンしてんでしょ? けどこの店じゃ無理。 お姉サン、"つつもたせ"だと思われてる」 「つつもたせ?」 「うん。まぁ、仕方ないよ。 お姉サンみたいなものすごい美人からいきなり誘われたら、なんかあるって思っちゃうよね。 キリッとした気の強そうな美人だから、なおさら? それでも今まではみんな、その美貌につい釣られて来たんだろうけど… 結局そいつらが、そんな噂流してんじゃないかな」
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