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春、私がこの大学を選んだのは...好きで書き溜めた詩をいつか誰かの手でもいいから音に載せたかったから。
通うには時間の掛かるこの学校は私の求めていた軽音サークルがあり、少しは私の詩をバカにしない人達が居るのではと期待したのだ。
まだ小学生だった頃、隣の席の男子に趣味のノートを見られ馬鹿にされた。
“キモい”“夢見る夢子か!”などと言われ、私は顔を真っ赤にし涙を流した。
そんな時、一人のクラスメイトの女の子が彼から私のノートを奪い中身を読み始めた。
幾らか時が経ち私の目の前にノートを差し出すと...
『この詩、曲に載せたらいいんじゃない?』
とサラリと言った。
呆然とノートを受け取り彼女を見ると
『私の家、お母さんがピアノ教室やってるの。今度来る?』
そう言ってくれた。
後日私は彼女の後を付いて行くと、部屋の真ん中に大きなグランドピアノがあった。
彼女は私を隣に座らせ滑らかな指使いで1曲弾いてくれた。
聞いたこともないその曲がとても素敵で私は必死に拍手を贈っていた。
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