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プールにて!
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「綺麗さっぱりありませんね」
浴衣を着た妙齢な人物が蜘蛛の肩を見ながら言った。
彼の名は白木 蜂鳥。その名の通り髪は雪より白く、しかしどこか華やかなのは流石と言うのか。
そんな蜂鳥を蜘蛛はため息を吐き、不老不死ですからね。と、答えた。
不老不死はキズの治りが早い。
完全治癒に一日もかからない。
そんな蜘蛛を傍らから見ていたニナルナがあることを口にした。
「けど、体は覚えてる」
いくらキズが治れど、体はキズがあったことをなかった事には出来ない。と、
蜘蛛が情けなく口を少し開けて驚けば、蜂鳥はそんな蜘蛛の肩を指でなぞった。
それに思わず蜘蛛は顔を火照らせた。
蜂鳥の指がなぞるのは…この館の主が昨晩噛みついた場所だった。
「歯跡が大変よく分かります」
これが犬歯ですか。随分深く…。と、指でトツと叩かれた。
それにまた、蜘蛛の顔は火照り、心臓は脈を早めた。
「蜘蛛…あまり入れ込んではいけませんよ?」
雇主なのですから。と、呟いた不安げな蜂鳥に
蜘蛛は微笑みながら答えた。
「心得てますよ、蜂鳥様」
即答した蜘蛛に蜂鳥は近づくと、その肩にソッと口付けた。
end
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