冬から春

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たべもの ▲▼▲ 「そういえば、蜘蛛って何食べてるんだ?」 ルタが発した疑問にニナルナは見た目の割以上に回転の早い頭で考えた。 昼下がりの食堂。確かに蜘蛛は館のバトラーでありながら他のものとは違い、食事風景を見たことがなかった。 「見たことないなら見てみよ!」なんてニナルナの言葉で三人は蜘蛛を探し始めた。 探し、探して数分。部屋に居る蜘蛛を三人は双眼鏡越しに見つけて口に慌てて手をやり、声を殺した。 何故ならば……蜘蛛が口にしていたのは解体されたばかりであろう牛肉。 血抜きもままならない雑にされたそれを指で持ち上げ、食べていく。 蜘蛛は蜘蛛だ。 そういえば、蜘蛛は肉食だ。なんて今さらをルタが思った最中、舌で口の周りを舐めた蜘蛛にルタは慌ててニナルナを抱えてその場を後にした。 あれは目の毒だと。 何故、食事だけにあんな目の毒なんだと八つ当りしたくなるのをこらえながらなルタとは逆に、見られていた蜘蛛は小さく笑った。 「盗み見なんて、行儀が悪いですよ。ルタ」 fin
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