冬から春

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冬に入った瞬間に蜘蛛は部屋から出ることが無くなった。 いや、クリスマスまではギリギリ起きていたに近い。 蜘蛛は名の通り、蜘蛛として森で暮し、またその時に証として蜘蛛に噛まれているため、不老不死ではあるも、活動できる期間が定められていた。 そんな蜘蛛の部屋に冬の間【春になるまでおやすみなさい】なんて書かれた札がかけられているのだから、知らない者からしたら不思議な光景だ。 そんな蜘蛛の部屋にふわりと春の暖かい暖気が流れ込み、蜘蛛はゆっくりと瞼を開いた。 相変わらずルビーのように赤い瞳で、ぼんやりと辺りを見つめて、何も身に付けていない体を蜂鳥が用意した冬眠よう寝具から出して、長く延びた髪を丁寧に纏め、服を纏い、ある場所へと朝早くに向かう。 すれ違う人はいない。 しかし、目的の人物が起きているのは確かだ。 部屋の前でノックする。 聞こえた声に対して緩む顔で蜘蛛は告げた。 「長い休暇ありがとうございました 只今より戻りました蜘蛛でございます…… また、よろしくお願いいたします」 fin
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