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まず初っぱなから←
***
楽しい年初めの宴。
そんな宴をこっそりと蜘蛛は抜け出しある場所へと
足を踏み入れていた。
宴からは程遠い暗く寒い場所。
そこで止まると蜘蛛は小さく小さく笑った。
「まさか貴方がアースレイ様を狙っているとは」
「まさか貴方がバトラーだとは」
そこに佇む小さな小さな影は見落とせば踏みつけてしまうも容易いくらい小さい。
しかし、侮るなかれ小さい影は想像を遥かに越える毒使い。
だが、蜘蛛は笑うだけだ。対する影は動かない。
「貴方がなぜあちらについているか分からない
本来なら裏切るはずじゃなかったの?」
「まさか。蜂鳥様もいるのに致しませんよ
それに…」
蜘蛛は紅い緋(あか)い目を楽しげに嬉しげに細目ながら言った。
「今の主人はとても興味深く可愛らしく美しい
仕えていて負を感じませんよ」
「そう…貴方がいる。貴方に見つかったから今日は帰るよ。貴方には勝てないって思っているから。」
そうきっぱりと言い切った小さい影に蜘蛛は再び小さく笑った。
それを見た小さい影は言った。
「その主に言いなよ…毒蜘蛛に気を付けろ。とくに目の緋い」
「おやおや…ふふ」
何かに飛び乗り去った小さい影が消えた場所で蜘蛛は言った。
「伝えるわけないでしょう?
本性も…なにもかも」
fin
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