KT

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KT

真夏の太陽と真冬の雪は 同じ暖かさで地上に降り注ぐ か細い足に絡みついた悩みや欲望たちは いつしか君を亡骸にした そんな君の魂から叫ぶ声を 空はただ見ていた 救いが欲しかったんだと君は掠れた声で 荒ぶ命たちに向かって絞りだすように言ったんだ 自ら望んで死にたいやつなんてこの世界にただ一人だっていないはずなのに どうして世界の歯車は犠牲を求め命を噛み砕くの? どうして答えがないことが答えだなんて言って世界は嘲笑うの? 自分自身を 世界だって死にたくないって思ったっていいのに 強がらなくてもいいのに 大きいからって 大人だからって どうして我慢しなくちゃいけないの? 望みを抱いてはいけないの? 悩むことができるなら 同じ同志なのに より楽しいことを求めて迷うことを どうしてしてはいけないの? 大いなるものは自ら犠牲になるべき存在で 小さきものは愚かさを露呈すれば死すべきとるに足らぬ存在だと 誰が決めたの? 滅ぶべきはすべての存在に境界を定めた何かであり 我々自身であるのに 誰か一人を黒幕だと決め付けて 罪を逃れたいのか 罪を被りたいのか 訳が解らなくなって そうして世界が混迷したなら それを解くのは そうしてきた皆でするべきことだって 気付くべき時がきたんじゃないかな 罪が花を摘みとっても その花は誰かを責めたりはしない 僕はそんな花のような存在でありたいと そう願い 願われ生きてきたように思う きっと皆も同じように 運命でも宿命でもなく 自分自身に何かを見出だすことができたから ここにいるんじゃないかな。 それは優しさだっていい 嘘をつくことだっていい 誰かを傷つけてでも生きていくんだっていう決意だっていい そのすべてが正しく 正解なんだと僕は思うよ だけれど それを貫くことが罪であると君が思うなら 立ち止まって 新たな道を探すことだってしていいんだ それはだれに責められることでもない そうしておくれよ 正しいとか正しくないとかは考えなくていい こんがらがった気持ちを晴れにするために太陽を求めてごらんよ 金色に輝く太陽でも 真っ黒な太陽でも 君はきっと素晴らしい存在だと 優しく 妖しく 歌ってくれるだろう 君だけの歌を そのためにもう少しだけ君を生きてみないかい? 僕はそう強く願っているよ
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