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ゆいを残して、再びゲートの近くまで戻って行く春一。
その背中からは必死さが伝わってきて、あんな様子を、冬依はもしかしたらどこかで見ているんじゃないかしらんと、試しにイルカショーのスタジアム型ステージを振り仰いでみた。
すると、やっぱり――。
ショースタジアムの一番高い場所。
入口ゲートも見下ろせるその位置に、人影がふたつある。
ゆいの位置からは、頭の先っちょしか見えないが、あれは絶対冬依と鈴音だ。
スタジアムのてっぺんから、こちら側を覗き込んでいる。
高い場所から、慌てる春一の姿を優雅に観覧、といったところか。
本当に、いい性格をしている。
試しにゆいが大きく手を振ってみたら、ちゃんと振り返してきた。
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