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春一に冬依たちを見つけたことを教えてやろうと、
「春一さ――」
声をかけようとしたら、いきなり後ろから口を塞がれた。
乱暴に羽交い絞めにされる。
驚いて無理やり顎をあげると、それは、今日水族館の外で出会った、あの冴えない男だった。
見知らぬ男に、いきなり後ろから抱きつかれている。
「ちょっ――」
塞がれているのをものともせず、無理やり怒鳴り付けようとした声が自然に止まる。
ゆいの目の前にギラリと光る何かがあった。
刃渡り20センチはありそうな、大きな草刈り鎌。
「キャーッ!」
悲鳴をあげたのはゆいではない。
ちょうどその場に居合わせた誰か。
でもその声に触発されたように、
「騒ぐな、静かにしろ!」
男が怒鳴り声をあげる。
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