4 クリオネの捕食

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ゆいを中心にして、まるで波がひいていくように、辺りは静かに静かになっていく。 そして、 ――ザワリ―― 声ともいえないどよめきだけになった。 男に羽交い絞めにされているゆいを真ん中に、輪を描いて遠巻きに見ているギャラリーたち。 その中から、 「何だよあれ、痴話げんかか?」 「わかんねー。でもアレ、刃物だよな」 戸惑う気配だけが伝わってくる。 そんな中、 「ゆいさん!」 真っ先に緊急事態に気づいてくれたのは、春一だった。 「ゆいさん、今行く」 春一はこちらに駆けて来ようとするけれど、 「来るんじゃねぇ!」 男が怒鳴り声をあげる。 そして鎌の刃先を、グイとゆいの喉に近づけた。 「来たら、殺す」 「……」 さすがの春一も足を止めた。
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