4 クリオネの捕食

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「誰か警察呼んで、早く」 「強盗事件なんじゃねぇ、おい」 「逃げろ!」 みな勝手なことを言いながら、バタバタと走り回っている。 何故だか、ゆいの目からは、まるっきり他人事のように、水槽の向こう側の魚たちの群れが騒いでいるだけのように見えた。 ゆいの喉元に付きつけられている刃物も、ギラギラ光って、銀色のアルミホイルを固めたもののよう。 全然、現実感がない。 ゆいを羽交い絞めにした男は、息を荒くしながら、ゆいの耳元で、 「あんたがひとりになるのを待ってたんだ」 と言う。 ゆいは驚いて、 「なんで? っていうか、あんた誰よ。私、あんたのことなんか知らないわよ」 言ってしまう。 だって本当のことだ。 こんな男、今日のさっきまで、会ったこともなければ見たこともない。
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