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春一が恵まれていると言われれば、容姿に関しては恵まれている。
春一は、男なんかとは比べものにならないくらい、イケメンだ。
だけど、そんなこと、春一のせいではない。
「何が目的なんだ?」
相変わらず春一だけが、塊りになった群衆の中から進み出て、男に静かな声音で話しかける。
春一がそうしているお陰で、会場もなんとなくパニックにならない。
春一の言動を、固唾を飲んで見守っている、という感じだ。
「俺が、君にしてやれることは、何かないのか?」
春一は穏やかな声で男に尋ねる。
「約束するよ。彼女を放してくれたら、悪いようにはしない」
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