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そんな兄弟のやりとりがある一方、ゆいを拘束している男は、
「僕は何度も同じ失敗を繰り返してきたんだ。僕はそういうことにはとても詳しい」
口の中で、何かをぶつぶつと呟いている。
「どうせ誰も本当の僕なんか見てくれない。無理をしたって、どうせいつかはボロが出る。本当の自分を好きになってくれなきゃ、そんなのは本当の愛じゃないんだ。そんなのは嘘っぱち」
『こいつ……』
男はきっと失恋したのか、それとも女に騙されたのか。
とにかく今は、自分の考えに凝り固まって、的外れで自分勝手な理屈を繰り返している。
他人の言葉なんか聞きいれる余裕は、到底なさそうだ。
こんな状態の男に、誰が何を言っても、説得されることはないだろう。
――頭がおかしい！
『どうすればいいの？』
ゆいは真っ青になる。
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