2 マンボウの孤独

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2 マンボウの孤独

水族館は、入ったすぐに、まずマンボウの水槽があった。 ここは中央にメインの展示館があって、あとは魚の種類ごとに、水槽のある建物が別々に建てられている。 「ねえ鈴ちゃん、マンボウって、少しのストレスですぐに死んじゃうんだよ。何かにぶつかっただけで、びっくりして死んじゃうんだ。だから他の魚と一緒には暮らせない」 でっかい水槽の中で一匹だけ、ゆらゆらと浮いているマンボウを見ながら、冬依はどこかで聞いたようなウンチクを語る。 鈴音は、 「へぇー。ちょっと寂しい魚なんだね」 素直に感心した声をあげていた。
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