学園刑事物語 電光石火 幕間

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「俺は、誰の子供だかわからない者ですよ。親切にしなくても大丈夫です。もう一人で生きてゆくと決めています」  佳親も肩を落とす。 「弘武。少なくとも、俺達は同じ母親から生まれているから、兄弟だよな?そんなに、拒否されると強硬手段に出たくなるよ」  強硬手段というのは何なのだ。つい、興味につられて、佳親の顔を見てしまった。 「ほら、捕まえた!」  佳親が俺に抱き着くと、髪をぐしゃぐしゃにかき混ぜる。俺が嫌がると、余計に抱き着いて離さない。 「やっぱり弘武も天神の子孫だよね。興味津々で生きている」  佳親が俺を肩に担ぐと、玄関に入る。 「うわあ、降ろしてください」  俺は決して小さくないが、佳親はよく俺を抱える。季子が、俺の靴を脱がせると玄関に置いていた。 「これは、今日焼いたケーキ」  希子は新しくケーキを焼いていた。そのケーキがテーブルの真ん中にある。 「今日、焼いたチキンね。それと……」  赤と緑の包み紙の、大きな箱を渡された。 「これは?」 「俺達から弘武へのプレゼントと、スケジュール」  プレゼントの上にあった封筒に、スケジュールとあった。封を開くと、月と内容が書かれていた。それが、どうも一年分ある。  一月には、スキーと温泉とあった。 「これは、俺達が子供と一緒にしたかったことのリストをまとめたもの。弘武は、ここに住むにあたり、これを叶える義務がある」  このリストに載っていることをするのが、俺の義務であったのか。リストを見ると、遊ぶ予定ばかりであった。その間に色々な行事もある。 「あの節句とか、七五三とかは俺に関係がありますか?」 「……したかったのよ。男の子が生まれたらするって決めていたことをする!」  花見などもあるが、俺の都合は一切無視されていた。その潔いまでの、リストに俺は文句を言い掛けて、テーブルのケーキが目についた。  希子は、そうやって、いつも俺を待っていてくれている。ダメなのは、俺の方なのだとは分かっている。 「今日は、ケーキを一緒に食べる。年末年始はそうだね、こっちが忙しいから我慢するけど。学校が始まる前に、一緒にスキーに行こう」 「俺スノボーです」  佳親がにっこりと笑っていた。 「いいねえ。その運動神経なら、かなり上手いだろう」  俺は上手いだろうか?クレイジーだとはよく言われる。
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